呪いの星の満天の下

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 ――あたしの、可能性もしもの始まりの日。

 散々打たれて斬り裂かれた魂に、ニアデスハピネスの残滓。
 成長の勲章にまみれた姿で呪術師どもに手を振って、私は優雅に別れの挨拶をしてみせる。
 誑かし、堕とし、復讐に狂わせた馬鹿な人間をくっつけて。


「まひと、さ……なんで……」
 馬鹿な人間――順平――を地面に放り出した。
 バウンドして、転がって、痛みに咳込みながら私に問い掛けてくる。
 代謝を見るまでもなく解るよ。何で僕を生かしたの、でしょ?
「違う真人あたしを生きてみたくなったから。そこに、順平きみっていうパーツが必要だと思っただけ」
 魂の形を変えて宿儺の器にぶつけてもよかったし、気が変わる瞬間まではそのつもりだった。
 順平が生きていたって、いつ死んだって、私の終わりは決まってる。
 なのに、可能性もしもの閃きの眩しさに、私の魂は抗えなかったんだ。
 だって、物語レールは決まった終わりまで敷かれているけれど、その上でどう走るいきるかは自由じゃない?
「だから私ね――」


 さあ、観測を始めよう。
 可能性もしもの先の満天の、自由に散らばる可能性。
 そこから降り注ぐ閃き一つを、この掌に受け取るために。

Sep 2023 - 修正 / 改稿